26 甲府銀座

甲府銀ぶら三日町見附よ ネオンサインは戀の色
シネマ歸のあの娘の頸に 更けてキスするおぼろ月
   戀し甲府のあの日の夢よ あの夢よ
甲府銀座の夜景は何んといつても甲府館、中央館のイルミネーシヨンと、各商店のネオンサインであらう。銀座通りにクロツスする櫻町、春日町を合せて本市きつての夜店街である。往き來する人々の顏も着物も或は赤く或は青く、又白に黄にと移り變りつゝ輝くネオンの光こそ、町の情調に更に一段のなまめかさを與へてゐる。
版畫の左側に見える丸屋根の建物は有信銀行で、吊燈、街燈、スズラン燈かゞやく銀座通りの中央に、王者の如く頑張り其の堅實振りを發揮してゐる。

(標 輔三)


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