71 八ケ岳キヤンプ
八ヶ岳と云へば白雪の八峯を思ひ、あの廣大な高原を思はせられる。白樺の疎林、密林に包まれたあたり、俗塵を遠く離れて、山紫水明の此の仙境にキヤンプする、まさに近代人のみに與へられた特權である。岳麓には躑躅で有名な美しヶ森があり、小淵澤から信州小海に通ずる小海南線は半ば完成し、沿線一帶は避暑地、療養地、修養道場として將來活目すべき開發が企劃されてゐる。 ハシゴの音や如何にと棒切で叩いてゐる若人を見よ。[# 原本では改行されているため「。」がないので入れた]其の愉快さはまた格別である。 行け八ッの高原へ! 味ヘキヤンプの生活を! 見よ美しヶ森の美感を!
(津金正明)